歸去來兮(帰りなん いざ)
中国の陶淵明の詠歌
ふるさとを離れ都で仕官し
人々の賞賛や日々の糧を得ることが出来たにもかかわらず
心は鬱々として晴れず、
やがて荒れ果てているであろう田舎に帰ると心に決め
(歸去來兮)と詠った陶淵明
いま日本の各地に散り散りに住むふるさとを離れた人々は
その心に(歸去來兮)の想いを抱いて暮らしているのだろう
荒れ果てても帰るべき田舎があるならまだ
田舎があるのに帰れない人々の胸のうちはいかばかりだろう
歸去來兮
帰るのは何も場所だけとは限らない
心が彷徨っているときは
あるべき心の居場所に
帰りなん いざ
佐藤 美代子