ひとり言

わたしに

あなたが今何を感じているか
あなたの心の中に何が起きているのか
わたしに教えて欲しい

一緒に考えようとしている私
あなたの苦しさ、あなたの戸惑い
それらの一部でもいい
私に伝えて欲しい

あなたが何を欲しているのか
あなたがどんな未来を夢見ているのか
一緒に考えてみよう
今ここにめぐり合えた時を大切にして

もしかしたら
何も解決しないかもしれない
何も変わらないかもしれない

でも話せたという事実は
あなたの未来にほんの少し近づけるきっかけになると思う
今すぐ変わらなくとも
きっと
あなたの一歩にはなれる

どうかわたしに話して欲しい

 

佐藤 美代子

秋風に乗って

ねー、きみ

実りの香りを運んでくる秋風に乗って僕と旅に出ないかい?

行き先?

そうだなきみの生まれた北国を見てみたい

スズランが咲いていたら最高なんだけどな

えー、今の時期、スズランは咲いていないって?

そうかスズランの生まれ変わりのようなきみは

今は、都会の雑踏の中で健気に咲いているのだった

 

スズランの好きな理由?

花言葉は「純愛」とも「幸福の再来」とも言われる

儚(はかな)げで可憐な姿が好きなんだ

ヨーロッパではその形から「聖母の涙」とも呼ばれているらしい

まるで、きみ自身を表わしているようじゃないか

僕の好きなスズランは北国の人里離れた谷間に

白い花をひっそりと咲かせる… そんなイメージだった

 

今、きみは都会の雑踏の中で一生懸命で咲いている

頑張り過ぎないでいいんだよ

このままだと可憐な花の奥に潜む毒性が強くなりそうな気がする

元の、北国の環境に立ち帰ったらきっと輝きを取り戻せると思う

ねー、きみ、

秋風に乗って、僕と旅に出ないかい?

 

牧田 英治

北の浜辺の

   潮かをる北の浜辺の砂山の

          かの浜薔薇よ

             今年も咲けるや 《石川啄木のうた》

 

春浅き大森浜(函館)を訪ね

いにしえの歌人に思いを馳せ

過ぎにし青春の日々を懐かしんできた

 

北の浜辺はまだ冷たく

海鳥だけが騒いでいた

潮かをる砂山は無く

浜薔薇も見つけられなかった

 

赤貧にあえぎながらも歌うことを続けた歌人

いや、歌うことがすべてだったのだろう

 

過去と未来とのはざまで私たちは生きている。

啄木のように歌うことは出来ないが

逞しく今を生きている

 

厳冬の季節を過ぎた

やわらかな春の気配を感じながら

啄木の海を後にして来た

 

佐藤 美代子

『Meeting Again』

高校時代、仲良し三人組だった友人に会った。

三人で会うのは、かれこれ13年ぶり!

待ち合わせ場所にみんながそろった時は、嬉しかったな~。

 

一日、買い物して、食べて飲んでおしゃべりして。

あっという間に時間が過ぎた。

次はディズニーランドに行こうね!と約束をして、それぞれの家路に向かった。

 

部活でボールを追いかけていた可愛かった?私たちも、

いつのまにか大人になって、皆それぞれ重い荷物を背負いながら生きていた。

 

でも、みんなの変わらない笑顔。明るい冗談。

とっても元気が出たよ!

 

みんな幸せでありますように。

みんな良い方向に向かいますように。

 

さあ!私もやるか!

春は、もうすぐそこまで来てる。

西谷久美子

沈黙の後に

沈黙を続けていると

ある日突然

突き上げられるように声を出したくなる

 

一度声を発すると

機関銃のようにことばが飛び出し

止めようもないほど胸のうちに澱たまった想いを吐き出したくなる

 

その後に来るものは

整理できないまま発したことばへの反省と

感情をコントロールできない自分への後悔

 

厳冬の寒さに震え

後悔の念に身を硬くし心を閉じる自分は

まだ未熟すぎるのだろうか

 

やがて暖かい春が来る

頭の中に居座る後悔や反省のことばを少し横に置いといて

おしゃべりと沈黙の間で生きられるよう思案してみよう

佐藤 美代子

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